梅毒
有名な性病で昔は多くの人が梅毒に感染していたようです。ペニシリンが発見され、その後梅毒は激減し1990年以降日本での梅毒感染者は1000人/年を下回っていました。しかし2013年より突然感染者数が1200人を超え2020年には5800人となり急激な増加を認めている性病です。
梅毒トリポネーマによる感染で、皮膚・粘膜の小さな傷より侵入します。複合感染などにより、初期感染を見落とす場合があります。
症状
感染後約3週間前後は、潜伏期間で明らかな症状はありません。
第1期
- 感染後約3週以降
- 感染部の初期硬結(軟骨のような硬さ)
- 硬性下疳(中心部の潰瘍を認めます)痛みはほとんどありません。
注意! これらの症状は2~3週間で消失します。
第2期
- 感染後3か月~3年頃
- 血行性に全身に散布される時期です
- 梅毒性バラ疹、丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなどの皮膚・粘膜への発疹を認めます。自然消失と再発を繰り返し3年以上放置すると第3期へ移行します。第2期までが感染力があります。
第3期
- 感染後3年以上
- 皮下組織にゴム種などができるようになる
第4期
- 感染後10年以上
- 大動脈炎・瘤、脊髄癆、進行性まひなどが起きてくる
- 第3~4期は後期梅毒で感染性はないとされています。
2018年に発行された日本性感染症学会梅毒委員会による梅毒診療ガイドの分類は第3期までの分類で上記の第3~4期を一緒にしています。
検査
血液検査を行い、RPR法とTP抗原を利用する検査法で感染の有無を調べます。感染初期には陰性になる場合があります。感染後3~6週後の検査が良いとされています。
また、HIV感染を併発している報告も多くあり、可能であれば検査をお勧めします。
治療
梅毒は現在ペニシリンに対する抵抗力はないとされており、第一選択薬はペニシリンになっています。これまでは、アモキシシリンと言う経口ペニシリン剤が保険適応でしたが、長期服用のため飲み忘れも多いようでした。海外ではペニシリンGの1回注射による治療が一般的ですが、日本でも最近やっと注射薬の保険使用が認可されました。薬の反応として、治療直後に発生するJarisch-Herxheimer反応(頭痛、発熱、倦怠感)や、1~2週後に起こる皮疹がありますが、心配いりません。
治療判定
梅毒の治療判定はRPR法で行います。検査の時に使ったTP抗原法は、一度梅毒にかかると永久に陽性になるため使用しません。