男性の場合、陰部とはデリケートゾーンとも呼ばれ、陰茎から陰嚢にかけての男性器の部分を示します。
デリケートゾーンという名の通り、性器周辺は感覚器官が発達しており、皮膚が薄く粘膜となっているような部分もあり、まさにデリケートな構造となっています。そのため、ちょっとした刺激で炎症を起こし、かゆみを感じることがあります。
一方、陰茎部分もデリケートな構造ではあるのですが、こちらはあまりかゆくなることはありません。そのため、もしかゆみが生じ、赤く腫れた場合には性感染症を含めた何らかの病気が考えられます。
陰嚢のかゆみはあまり心配ないとはいえ、まれに白癬菌の感染による、「いんきんたむし」といわれるものもあります。陰部のかゆみにお困りの方は、当院までご相談ください。
陰部のかゆみの原因
男性の場合は陰茎のかゆみ、陰嚢のかゆみなど異常がある部分によって原因が異なることが多く、同じ箇所でも原因によって症状のあらわれ方が異なります。そのため、陰部のかゆみを起こしている原因をつきとめ、それに合わせた適切な治療を行う必要があります。
男性の陰部にかゆみを生じる主な原因としては、以下のようなものが考えられます。
クラミジア
クラミジアは、日本では性感染症として一番多い病気です。クラミジアトラコマチスという細菌と似た微生物に感染することで発症するもので、感染してもあまり強い症状が生じません。
男性の場合、主に陰部のかゆみや、同時に軽い排尿時痛や透明な薄い膿状の分泌物が出るなどの症状を起こします。
男女ともに感染してもほとんど症状が出ないこともあるため、何か異常を感じたら一度パートナーも一緒に受診してしっかりと治す必要があります。
淋病
淋菌という細菌に感染して起こるのが淋病です。日本では、オーラルセックスなどを感染源とするケースが比較的多くなっていることが特徴です。
男性が感染すると、淋菌性尿道炎を起こし、性器のかゆみや強い排尿時痛、黄色い濃い膿の排出などを生じます。
性器ヘルペス
単純型ヘルペスウイルスによる感染症です。粘膜同士の接触による性感染症で、性器から肛門や太ももにかけてかゆみを感じるほか、水疱ができ疼痛があります。
最初に感染したときに強い症状がでる傾向があり、一度感染するとウイルスが身体から無くなることはありません。
普段は神経などに隠れて休眠していますが、ストレスや疲れなどから体力が弱まったときなどに活動を始め、再び症状が出ることになりますので、注意が必要です。
亀頭包皮炎
男性器の亀頭や包皮の内側に、恥垢という垢のようなものが溜まって不潔にしていたり、性行為などで真菌(カビ)に感染したりして、亀頭や包皮内側が炎症を起こすのが亀頭包皮炎です。主な症状としては、炎症部分のかゆみや発赤、糜爛(びらん)、潰瘍、尿が染みて痛みが挙げられます。
特にカンジダという真菌の一種は、性行為によって感染することが多く、白い滓状のものが亀頭と包皮の間に溜まり嫌な臭いを発することがあります。
陰嚢湿疹
精子をつくる睾丸を包む陰嚢は、熱に弱いため放熱がしやすい構造になっています。そのため、しわのようなヒダで表面積を広くとり、発汗によって温度を下げるような構造など非常にデリケートに作られています。
そのため、陰嚢部は発汗などによって汚れが溜まりやすく、炎症を起こし、かゆみを感じることも多くなっています。また一方で神経質になってきれいに洗いすぎることで、陰嚢表面に傷をつけたり、逆に乾燥させてしまったりして炎症が起こることもあります。
かゆみにより掻きむしってしまうと、皮膚に傷がつき慢性化して陰嚢の皮膚が厚くなってしまうこともあります。
陰部のかゆみの検査
陰部にかゆみや違和感を生じている場合、問診や視診により症状の確認をすることが多くなっています。また、必要に応じて尿検査や血液検査など、原因を特定するための検査を行います。
陰部のかゆみの治療
陰部にかゆみがある場合、原因を特定し、原因に沿った治療をします。基本的には薬物療法となり、内服薬や塗り薬(外用薬)の処方を行います。
性感染症の場合は、男性に尿道炎という形で表にあらわれやすいのですが、パートナーの女性には症状に現れにくいという特徴があります。
性感染症であることがわかって、もしご自分が、性感染症を治したとしても、パートナーが完治させていなければ、ずっとお互いに感染を繰り返してしまいます。性感染症の場合は、パートナーと一緒に治療を受けることが重要です。