男性更年期障害
女性の更年期障害と同様に、男性にも男性ホルモン低下に伴う更年期障害が存在します。女性の場合は、急激な女性ホルモンの低下で更年期障害が始まったかな?とわかりやすいのですが、男性の場合、男性ホルモンの低下がゆっくりであり、個人差も大きいのであまり問題とされてきませんでした。近年、この男性更年期障害による様々な症状により、生活習慣や職場環境なども影響を与えることがわかってきました。
症状
身体的症状や精神的症状などの多彩な症状が出現します。
身体的症状
女性更年期症状と似た症状
- 異常発汗
- ほてり
- 肥満
- 頻尿
- 筋力低下
- 関節痛
- 筋肉痛等
男性特有な症状
- 性欲低下
- ED
精神的症状
- 興味や意欲
- 集中力
- 記憶力などの低下
- 不安感
- うつ症状
- 不眠症
そのほかにも様々な症状を認めますが、勃起力の低下などがある場合は、一度検査して良いかと思います。
検査
- 症状スコアー(AMS) 26点以下:正常 27~36点:軽度 37~49点:中等度 50点以上:重度
-
採血 フリーテストステロン、LH,FSH、肝機能、腎機能、H b、PSAなどを測定します。
※テストステロン値は日内変動を認めるため、午前中の測定をお勧めします。
治療
ホルモン補充療法
40歳以上でフリーテストステロン 7.5pg/ml未満と低値の方や7.5〜11.8pg/mlの方でも症状も考慮して
テストステロン補充療法を行います。
ホルモン補充療法の禁忌は、前立腺癌、心不全、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられ病状を悪化させる
可能性があります。
男性ホルモン製剤には、エナルモンデポー(保険)、グローミン軟膏(自費)、
1UPフォーミュラ (自費)があり、当院ではその全てを取り扱っております。
- エナルモンデポー
我が国で唯一の保険診療で認可されたテストステロン注射製剤で、2−4週間の間隔で投与します。
症状の改善具合によって次第に投与間隔を伸ばしていきます。
生活習慣の改善や運動療法などの併用により最終的には投与を中止できることを目指します。
- グローミン軟膏
テストステロンを1%含有したクリームタイプの軟膏で、主に陰嚢皮膚に塗ることで
男性ホルモンをゆっくりと補充します。
1回に塗る量にもよりますが、通常は1ヶ月程度使用できます。
保険適用はないため自費診療で グローミン軟膏 1本 3,500円 他 診察代がかかります。
- 1UPフォーミュラ
テストステロンを5%含有した軟膏で、主に陰嚢皮膚に塗ることで男性ホルモンを補充します。
エナルモンデポーは注射後から2週間前後は良いのですがその後は次第に血中濃度が下がっていきます。
1UPフォーミュラは毎日塗ることでテストステロンが補充されますので、血中濃度が一定に保たれ症状が
安定することが大きな特徴です。
塗る量にもよりますが1本で2ヶ月程度使用できます。
テストステロン治療認定医でないと処方はできません。
当院で処方し、1UPフォーミュラを唯一取り扱っているオールインワン薬局から自宅に郵送されます。
(当院や通常の薬局ではお渡しできません)
保険適用はないため自費診療で 1UPフォーミュラ 1本 12,100円 他 診察代がかかります。
漢方薬
テストステロンをゆっくりと上昇させる効果のある漢方薬などを使用します。
柴胡加竜骨牡蠣湯、補中益気湯、八味地黄丸など
生活習慣の改善、運動療法
運動し、よく眠ることによりテストステロンは上昇します。
筋トレなども効果あります。筋肉量に比例してテストステロンは上昇すると言っても過言ではありません。
副作用
- 心血管系疾患
- 高脂血症
- 多血症
- 肝機能障害
- 精巣萎縮
- 前立腺疾患
テストステロン補充療法によって多血症、肝機能障害、造精機能の低下、睡眠時無呼吸症候群の悪化、上記等 が副作用として起こることがあります。
また漢方薬の投与により肝機能障害や電解質異常などが起こることがあります。
副作用の有無を確認するため定期的に採血を行い、場合によっては投与間隔の変更、休薬なども考慮します。
これらを確認するため、定期的に採血等を行い監視していきます。